2019年05号
治癒に向かう発熱反応
病気の人と健康な人の体温(腋下温)を比べてみると、健康な人の体温は35.8~37.2度の間に分布は収まっています。健康な人でも体温に差があるのは、仕事の内容や性格などによって体温が変化するためです。活動的な生き方をしている人はエネルギーも多く必要になるので、どうしても体温は高くなります。その反対に活動量の少ない高齢者などは体温が低くなりがちです。一方、病気の人の体温は非常にばらつきがあり、中でも癌とうつ病には低体温が多く見受けられました。こうした病気の人で平熱が35度台の低体温の人が37度に上がれば、かなりの発熱になります。発熱は体が体温を上げて血流を回復させようとする治癒への反応です。発熱をしている人たちは治癒に向かっていると言えるでしょう。アトピー性皮膚炎やパーキンソン病の人も37度以上の体温の人が見受けられ、熱によって症状の悪化を防いでいる様子がうかがい知れます。発熱は不快な症状ですから、ついつい熱を下げようとしがちです。体温の上がり過ぎは危険を伴うため、高熱はある程度下げる必要がありますが、治癒反応の発熱を薬ですっかり止めてしまっては病気が治る方向に向かいません。慢性化の原因になります。病気になった原因は交感神経緊張による無理な生き方や、副交感神経優位の過度にリラックスした生き方をしてきたことにありますから、根本的には生き方の偏りを修正することが必要です。しかし、とりあえず病気の辛い症状から脱却したい場合には体を温めることが最優先です。体温を上げると免疫の活性が高まり、血液は免疫そのものですから、血流が改善されると症状も改善されます。発熱こそが病気が治る最大のチャンスと考えて、湯たんぽやカイロ、腹巻きやお灸を活用して水分を充分にとって思い切り汗をかきましょう。発熱から痛みを伴うこともありますが、血流が良くなっている証拠です。場合に応じていたずらに薬で自然治癒能力を阻害しないよう注意しなくてはなりません。
参考文献:「非常識の医学書」実業之日本社(p262.263)
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