2015年 12号
今回は福田稔先生の食と心の関係についての前回の続きです→
50歳の頃、南北が伊勢神宮へ赴き、五十鈴川で21日間の断食と水ごりの行を行った際、豊受大神の祀られている外宮で「人の運は食にあり」との啓示を受けるのです。豊受大神は五穀をはじめとする一切の食物の神で、天照大神の食事を司ると言われています。南北は「我、衆生のために食を節す」という決意のもとに、生涯粗食を貫きました。南北の言葉に「一日一合五尺の麦飯と青菜を腹七分にして残りは神に捧げよ。三年食を慎めば運が開ける」とあります。食事の内容は、主食は麦飯で、副食は一汁一菜、米は一切口にせず、餅さえも食べなかったそうです。酒も一日一合と決めて決してそれ以上は飲まなかったといいます。そして、食を慎んだことで運が開け、健康のまま長生きし、大きな財を成したと語られています。この話は、私たち人の食というものに対しての考え方を戒めているものです。食は自分の命を養う基本です。他の命を奪い食することで私たちは命をつないでいます。腹七分にして神に捧げよというのは、食事を神棚にお供えしなさいということではありません。全ての食べ物をむさぼり食べるのではなく、感謝して食べるということです。バランスのとれた粗食を感謝して味わうことこそが、心と体のバランスばかりでなく、全ての生態系のバランスを取ることにまで繋がると語っているのだと思います。
病気の人や健康を気にする人の中には何を食べれば良いのかということに固執する人がいますが、まずは食に対する感謝、食を育ててくれた自然や人に対する感謝が大事だと思っています。時間と愛情をかけて感謝して作られた食事にこそ体を癒し、健康へと導いてくれる生命エネルギーがあふれているのではないでしょうか。
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