日本氣鍼法学会会員 西 邦光
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ようやく日も長くなりだし、春の気配を感じられるようになってまいりました。古代中国の医学大書である「黄帝内経」の中で、春という季節の養生法について、こう書かれています。「春は発陳(はっちん)といい、それは全てのものが発生し、連なる季節である。夜は夜更かしせず、朝は早く起きる。広い区域に渡って散歩し、髪や着物はできるだけゆったりとし、欲張ったことは慎み、なるべく人を罰したり非難したりせず、人を誉める。」発陳の「陳」という字は冬の間に蔵されていたものが表に現れるという意味で、そういった季節に応じた生活態度として、ゆったりとのびやかであるのが良いとされ、髪を結ったり堅苦しい服装は避けるのが望ましく、そして、春の活動は生成であるから、殺・奪・罰といった行為も控えなければならないと説かれています。 さて、春に現れるものの一つに「たけのこ」があります。このたけのこは食物繊維が豊富で整腸作用があり、また、骨の組織の重要な成分であるリンの含有量が多い食物です。また、十六種類以上アミノ酸が含まれ、そのうち六種が必須アミノ酸であり、これらを摂取しやすくするにはよく煮たほうが良いとされています。 また、東洋医学的には、たけのこには体にこもった余分な熱を収める作用があり、便秘がちの方やのぼせのある方に適していると言われています。しかし、粗い食物繊維は胃腸にとって負担となりやすく、さらに体を冷やす作用があるため、胃腸の弱い方やもともと冷え性の方には体質改善に不利なので控えめに、また妊婦の方も、たけのこに含まれる渋い成分が胎児の成長に悪影響を与える可能性があるので、控えめにすべきであると考えられています。 家庭療法への応用としては、二日酔いには生たけのこの煎じ汁を飲んだり、歯茎出血には生たけのこを酢で煮たものを口の中にしばらく置くと良いとされています。 東方栄養新書 (メディカルユーコン社) |